1.プライバシーを守り、心地よく過ごせる空間であること
家族が集まる部屋、建物の中心となる空間には、居心地の良さがもっとも大切です。
居心地の良さには様々な要素が複雑に絡み合いますが、私たちは、①庭や空などの屋外空間を室内と一体的に使え感じること、②屋外空間を人目を気にせず楽しむことが出来ること、その2点を特に大切にしたいと考えています。
せっかく、丹精を込めて庭やテラスをつくったとしても、人目が気になってカーテンを閉め切ってしまうのでは意味がありません。プライバシーを守りながらも、外とコミュニケーションが図れる、快適な空間を目指しています。
2.のびやかな空間であること
少し抽象的な言い回しになりますが、私たちは「のびやかな空間であること」を重視しています。
例えば、主たる居住空間やリビングでは、どこまでも視線が通り、伸びやかに感じられる空間は、実際の広さ以上の居心地を備え、広さ以上の空間的価値を持ちます。私たちの設計では、そうした実際の空間以上の居心地をどうやって獲得するかに重点を置いています。
3.素材を五感で感じる空間であること
石、木、土、布、紙、…
住宅や建築は、詰まるところ、最終的に「素材」で構成されます。「素材」にはそれぞれの手触りがあり、風合いがあり、そうしたものが空間を形作り、居心地の良さをつくりだします。
天然の木材や自然石、土壁や畳など自然の感触を肌で感じられる空間は居心地の良いものです。私たちは(値段の高い安いではなく)本物の素材にこだわりたいと思っています。また、自然素材は経年変化により深い味わいを醸成し、その家族ならではの、愛着のある空間をつくり上げます。
4.生活を支える機能・収納などバックヤードを重視する
私たちの作った住宅について、雑誌の取材で訪れて来る雑誌編集者に、良く驚かれるのが「収納スペースの多さ」です。
雑誌で見かけるデザイン住宅では、デザインを重視し、収納を考慮しないものも多くみられます。しかし、適切な収納力を持たない住宅は必ず綺麗に使いこなせません。また、家事動線を考慮しその流れに沿って適正な収納を確保することも重要ですし、作業手順・調理手順を綿密に計算した収納を設けることも重要です。
そうした収納力についての様々なノウハウにより、デザインされた生活が成立するものだと考えています。
わたしたちの仕事の特徴と強み
手間を惜しまず、クライアントと一緒に考えること
わたしたちの仕事が、多くの同業他社と異なる点は、とにかくたくさんの模型を作り、お客様と共に、納得のいくまで徹底的に考える点にあると思っています。
わたしたちの提示する最初のプレゼンテーションのまま、実現に至った住宅は、少しの例外を除いて殆どありません。『最初のプレゼンテーションの感想をお聞きし、雑談し、また案をつくり、といった作業を何度も繰り返して、数ヵ月後にやっとひとつの案が出来上がる』というやり方を取っています。
その作業は、とりも直さず「お客様と一緒につくってゆく」という手順です。
不確かなことを、じっくりと時間と労力を掛けて、一歩一歩、確信に変えてゆく、そんな作業をお客様と向き合いながら、お客様と共有してゆきたい、と思っています。
クリニック・医院や福祉施設、店舗、集合住宅など多様な建築に対応します
住宅は、あらゆる建物の基本だと言われています。どんな大学でも大抵「住宅を上手くつくれれば、どんな建築も上手くなる」と教えられます。それは、住宅には、人間の五感をベースにしたあらゆる空間つくりのノウハウが詰め込まれているからです。
その証拠に、私たちは住宅設計から出発しながら、公共建築でも多くの評価(受賞歴・メディア掲載歴)を得ています。その「受賞歴・メディア掲載歴」では、何十年も社歴のある大手設計事務所よりも、多く高い評価を得ています。
私たちは、クリニック・医院・動物病院や店舗、集合住宅、事務所ビル、保育所、飲食店などの設計経験も豊富で、様々な用途の建物の設計も可能です。様々なご要望に丁寧に対応し、魅力的な空間設計のお手伝いをします。
クライアントのこだわりを実現する住宅
繊細で上品な素材にこだわった住宅の高価格設計も得意です。
様々な住宅や公共施設を多く設計した経験を生かして、建主とともに素材感や細かいディテールまで、とにかくこだわった家づくりにお手伝いをします。また、こうした高価格住宅つくりには多くの専門家との連携が必要不可欠です。構造設計者や、照明デザイナーや造園デザイナーなどと一体となり、上質な空間を提案します。
シンプルでコンパクトなローコスト住宅への対応
ローコスト住宅では、全ての要望が叶う訳ではありません。限られた予算の中で、自分たちの欲しいもの・優先順位を明確にし、そこに集中的に取り組むことが重要です。逆に、そのように自分たちの実現したいことを明確化すれば、よりコストパフォーマンスの高い空間づくりが実現します。
そうした場合でも建物の基本性能を下げないことは重要なポイントです。超高気密高断熱にする必要はありませんが、「次世代標準」以上の空間性能は維持します。
そのように、考えを整理し、実現したいことを明確化することで、シンプルで豊かな空間を創造することができます。
特殊な要望に対応した建築空間への対応
私たちは、スタジオ併設住宅や、病院併設住宅、福祉施設併設住宅など、特殊な複合住宅の設計実績を多く保有しています。それらの併設住宅は、ただ単に、違う用途の建築を寄せ集めるだけで出来るわけではありません。「大音量を60db以上軽減し、近隣に音を漏らさない」ことや「臭いに起因する近隣トラブルを回避する」こと、「夜中に急に訪れる患者さんからプライバシーを守る」など、特殊な要望に応える必要があります。
私たちは、そうした特殊な要望に対応するノウハウを駆使し、クライアントの悩みを解決し要望をかなえた建築を実現します。
『建築の性能』についての考え方
住宅の温熱環境についての考え方
住宅を高気密高断熱化することは、これからの「持続可能性のある社会」にとって重要なことです。
しかし、多くの研究者の検証により『住宅の高気密高断熱化によって、トータルコスト(建設費と光熱費、メンテ費用を合わせたコスト)が縮減されることはない』ことも明らかになっています。
ということは、十分な基本性能を確保したうえで、「必要以上に数値を追い求めず、コストバランスを考慮する」ことが重要です。
数値算出の特性上、窓を小さくし、天井高差を低くすれば、「外皮平均熱貫流率/UA値(熱損失の合計を外皮面積で割ったもの)」や「隙間相当面積/C値(家全体にある隙間面積(㎠)を延べ床面積(㎡)で割ったもの)」は急激に高くなります。しかし、そうした操作は空間性能を大きく損なってしまう恐れがあります。そういう観点から見ても「必要以上に数値を追い求めず、バランスを考慮する」ことが重要だと考えています。
また、ご要望があれば、環境工学の研究者とのプロジェクトチームを組み、住宅設計に取組んでいます。私たちの強みはそうした人的ネットワークにあるとも言えます。そうしたつながりを駆使して、最新の研究成果を反映した、検証可能な事実に基づく温熱環境の設計に取り組みます。
※環境工学の研究者たちによれば「高気密高断熱化に掛かる費用は必ず回収できる」という事実はなく、むしろトータルコストは上がってしまうようです。しかしあらゆる観点から住宅の温熱環境的高性能化は重要です。ですので、環境工学の研究者たちは高気密高断熱化住宅を「経済的なメリットのある家」とは言わず「ヒートショックのない健康住宅」と呼んでいます。
構造強度・耐震性能についての考え方
建築や住宅の構造強度や耐震性は、クライアントの生命・財産を守る重要な要素です。木造建築では簡易的な構造計算が許容されていますが、私たちは、全ての木造建築・木造住宅においても、構造建築家との協働により、より安全性の高い空間づくりに取り組んでいます。
また、クライアントのニーズやさまざまな特殊条件に応じ、適材適所で優れた構造家を選択しています。