仙台市泉区
児童福祉施設
放課後デイサービス+住宅
主体構造
木造2F建て
基礎
べた基礎
仙台市泉区に建つ複合用途建築物で、 児童福祉施設(放課後等デイサービス)にその拠点事務所、住宅を併設したものです。
放課後等デイサービスは2012年に児童福祉法で定められた新しい事業で、 学校外で集団生活を行う機会や、障がいのあるお子さんをもつ家庭を支えるために設けられ、 放課後や休暇中に通うことができる施設です。
お施主様のあいの実さんは、福祉施設然としたものではなく、 明るく開かれた、利用者さんが通いたくなるおしゃれで家のような施設を! ということで私たちに設計を依頼されました。
外観
一般的には駐車場を道路沿いに、建物を敷地奥に設けますが、 ここではあえて前面道路沿いに建物を配置して、まちなみを形成しています。 道行く人に、この施設が《何の施設なのかわからない》ということがないように配慮しました。
2階の外壁木仕上げの部分が住宅です。白い外壁のスリット部分によって、住宅部分は、外からの視線を気にせず採光や通風を得ることが出来ます。
1階は四周に下屋を設けており、道路沿いが法人事務所、 写真の手前側が将来的に地域に開くことも想定した研修室です。 裏側の緑地帯の前が、子供たちが過ごす、放課後等デイサービスになっています。
道路側の別の角度から見たところ。
アプローチ
北中山の児童福祉施設併用住宅 緑に囲まれてい福祉施設なので、ストレッチャーや車いすの出入りがあり、当然バリアフリーが求められます。
木造にもかかわらす、福祉施設にありがちな仰々しいスロープがないことにお気づきでしょうか。 決して中に段差があったりするわけではなく、 建物の周りをウッドデッキにすることでうまく技術的に処理しています。 このことが、お客様が望む《福祉施設然としない》ことにも一役を買っています。
建物をぐるりと囲むウッドデッキは、子供たちの憩いの場、父兄の方たちがコーヒーでも飲める場、 スタッフの休憩の場など、面する部屋によって様々に使えます。
1階は事務所用の玄関(写真左)と、放課後デイサービス用(写真右)の玄関があります。
玄関
事務所用の玄関は、大きな介護設備などの搬入を考慮して、木製の親子扉としています。
放課後デイサービス用の玄関は木製の吊引き戸です。大きいですが容易に開け閉めできるようにしています。
話としては少し寄り道してしまいますが、上のスリットにより、住宅部分のリビングと寝室に採光と通風を確保しています。住宅部分のメインの室は基本的に二方向の中庭に面しており、風通しを確保しています。
こうして外から見るよりもずっと快適な室内環境となっています。
休憩室
こどもたちが過ごす部屋です。
天井を見上げて過ごすことが多いお子さんたちなので、天井に照明をつけて、 直接光源が目に入ることがないように間接照明としました。 また極力シンプルに天井をつくることで不安を感じないようにつくりました。
外には「緑に囲まれたウッドデッキ」がフラットにつながっており、晴れた日は外で過ごすこともでき、子どもの人気スポットになっているようです。
このデッキを外から見るとこんな感じです。
利用者用トイレ
限られたスペースのなか、ストレッチャーや車いすの出入りがゆとりをもってできるように、 コーナーでL字に扉が閉じる引き戸をつくりました。
右奥は利用者用の浴室です。 福祉施設の特殊浴室は暗いイメージがあったので光が入る明るい浴室にしました。
事務室
道路に面して作られた事務スペース
事務室は道路に面しており、 どのような活動をしている施設なのか地域の人たちにわかってもらうことを考えました。
理事長室
理事長室は、上階の住居部分との境界にあります。全体を見渡せ、天井高さのある開放的な執務空間としました。
研修室
もっとも明るく、まちに開かれた研修室です。 父兄の方たちの憩いの場であり、勉強会やセミナーを行える会議室のような場所でもあります。
仕上げは、木毛セメント板です。 高い吸音性能を持つので、上階の住宅への音の伝達をやわらげてくれます。
夜景
体の不自由なお子さんたちをサポートするあいの実さんの活動は、 これから社会的な重要度を増していきます。 そのような福祉施設が、地域と接点を持てるような、 どういう活動をしている施設なのか認識できるような施設を目指しました。
NAM あいの実クランベリー
- 所在地/仙台市泉区
- 主要用途/児童福祉施設、放課後デイサービス+住宅
構造・構法
- 主体構造 木造2F建て
- 基礎 べた基礎
規模
- 建築面積 236.83㎡
- 延床面積 373.46㎡