ブログ再掲シリーズです。
完成した住宅をひさしぶりに訪れるといろいろと考えさせられます。
先日もあるお宅を訪問し,実に感慨深い思いをさせていだいたので(それはまたいつかの機会にまとめさせていただきますが),以下のブログを思い出し読み返してみました…。
読み返してみると,みごとに3部作になっていましたね…。
2019.09.09. 「11年目の施主の想い…『囲い庭に埋もれる平屋』」
住宅『囲い庭に埋もれる平屋』
昨日は「あの住宅は10年後どう住まわれているか」との雑誌企画の取材でした。
この10年を振り返ったクライアントの住宅への想いに、住宅はクライアントの「生活や家族への強い思い」があって出来上がり、強い思いの中で住み続けてくれているんだなあ、と改めて実感しました。
10年前に植えた欅がこんなに大きくなりました。
昨日は30度越えの暑さでしたが、窓を開けると、庭と一体となったこんなリビングになります。
外から見ると…
かなりデカいっすね…。
中では絶賛撮影中です!
そして最後は、ビールで…。
この雑誌の編集長も「長いこと住宅の取材の仕事をやって来たけど,ビールが出たのは初めて」ですって!
楽しく乾杯できてよかった。
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2019.10.28『11年目のクライアントの思いに触れて思うこと。』住宅雑誌の取材に寄せて
11年前に完成した「囲い庭に埋もれる平屋」を再度取材してもらいました。
いろいろと感慨深い取材でしたが、先ずは、表紙の写真が素晴らしい!
11年前にはまだまだ小さかった欅の木が、結構な大木に成長しています。
11年経った施主の想いに触れて、改めて、設計の難しさを思い知りました。
私としても思うところがかなり大きかったので、ここに寄稿した文章を転載させてもらいます。
周辺は古い住宅地。隣にはIさんの実家があり、昔から知る近隣住民とほどよい距離感とプライバシーを保てる静かな生活の場を希望されました。 そこで外壁を兼ねたシンプルな白い塀のなかに、路地の延長を意識した黒いトンネル状の「エントランススペース」、庭を楽しめる半地下の「居室スペ ース」、家の中央に集約した「収納コア」という3つのパートをデザインしました。11年を経てアイレベルにある庭の樹木は大きく生長し、密かに期待した 「箱庭や盆栽の中に住んでいるような生活」が実現しているようでした。
実は取材前までは漠然と、11年後の住まわれ方を見るだけの企画だと思っていました。しかしご夫妻へのインタビューが進むにつれ、1つの住宅を介して、家族の生活や生き方についてのストーリーをなぞっていることに気づきました。Iさんは息子さんが個室が欲しいというと、「大学に合格して早く出ていけ」とだけ答えるそうです。でもそこにはIさん自身の経験から来る 「家に縛られないでほしい」という子への願いがあり、今は半年後に再び訪れる「夫婦2人の生活」を模索しています。
「この家は、家族の関係をぐっと近づけてくれる」というIさんの言葉や、大きくて太いご家族の人生への想いに触れ、「私たち建築家の仕事は、こういう生活の小さな一部分となれたときに素晴らしく輝くのだ」と実感し、途中で少し言葉が出なくなりました。
(文/手島 浩之)
地域限定の雑誌ですが、コンビニにも置いてあるようなので、手に取ってみてください。
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2020.10.19『囲い庭に埋もれる平屋』断髪式? (東北住宅大賞受賞作)
先週の土曜日から、ずっと、書こう書こう、でもどう書こうかなあ、などと考えながら、もう一週間以上がたってしまいました。
「東北住宅大賞」の「大賞」を初めて貰ったのが、この住宅で、2009年のことなので、竣工は多分その二年ほど前だったと思います。
となると、もう、竣工してから15年近く経つのですが、クライアントから連絡があり、伺うことにしました。
その趣旨としては、
竣工時に植えた欅の木が、大きくなりすぎたので、どうしようかと造園屋さんに相談を進めていたのだが、いろいろとあり、そのケヤキを切ることにしたのだそうで、その前に一度、この欅の木に愛着を持ってくれているだろう人たちを集めて「小さな会」を持ちたいのだというものでした。
クライアント家族をはじめ何人かが集まり、午後3時ころからゆっくりと吞みはじめ、
仕事の話や子育ての話、それからケヤキにまつわる思い出など、話は方々に飛び散るのですが、ケヤキを見上げては、「それにしてもデカくなったな」などとつぶやいて、楽しい時間はどんどん過ぎていきました。
この日は写真を取り損ねてしまったのですが、一年ほど前にはこんな感じでした…。
出来立てのころの写真を見ると、こんな感じだったので、本当にデカくなりました…。
この日は受験勉強中の息子さんも付き合ってくれ、いろんな思い出話を聞かせてくれました。
この住宅では、子供部屋と寝室が間仕切りなくつながっており、「プライバシーが全くなかった!」と訴えると、
旦那さんが「間仕切りは作れるように下地を作っておいたし、それも知ってたのに、やんなかっただろ!」と言い返し、
(隣が実家なので)「あそこの2階も空いているのに」とも。
結局息子さんも、いろいろなことは納得ずくで、ここで親と一緒にいる生活を選んだんだ、という結論に至りました。
その息子さんも、首都圏の大学を目指している、ということで、この春からここを巣立ちます。
日もどっぷり暮れて、酔いも回ったせいか、(飲んでない息子さんも)みんなでケヤキの木をじっと、見上げていました。
ケヤキを切った後は、また別のにわを作りこんでいこうと考えているようで、
息子さんの巣立ちと、それによって知らず知らずのうちに次のステップに踏み出していかざるを得ない自分たち夫婦、そしてケヤキと、次のにわのこと、…
いろいろとなことが重なって、感慨深い思いに浸ってしまいました。
また、私にとっては、
うちの娘と同年代の声を楽しく聞けたのも、なによりのことでした。
高々木を一本切るだけなのに、こうして呼んでもらえて、大切なひと時を過ごせるのは、私たちのような仕事をする人間にとって最高のひと時だと思いました。
T島
「囲い庭~」もうすぐ生まれる!
「囲い庭に埋もれる平屋」の竣工ページ
「囲い庭に埋もれる平屋」のブログ
昔のブログって,読み返してみると面白くって飽きないですよね…。
娘に関する投稿なんて,何度も読み返してしまいます。
むすめ三部作なんて作ろうかな,っと!