宮城県仙台市
木造在来工法
メディア
新建築住宅特集 2019年11月号
新たに仙台に越してくる三世代の家族のための二世帯住宅です。 在宅で仕事をする夫婦のために、仕事場や子どものスペース、ひとりで過ごす場所など様々な居場所をつくり、 家族のための多様な居場所が、垂木現しの大きな屋根の下に静かにたたずむ様を建築化しました。
中心の中庭と東南西方向には大きな開口部がまわり、 周囲の風景を取り入れ、開放感の感じられるつくりになっています。
床レベルの異なる様々な居場所が段々と連なり、大らかな一枚屋根に覆われた住宅です。
外観
宅地分譲中のニュータウンに建ち、ひときわ大きな屋根が特徴的です。
南面には大きな木製サッシがあり、リビングから、せり出したデッキに出ることができます。
H鋼の上のデッキ材にはお施主様からのご要望で「アコヤ」を使用しました。
「アコヤ」とは、アセチル化処理によって高耐久化された天然木材です。資料によると50年保証だとか…。
玄関
玄関の右側にはキッチン、階段で800mm上がるとリビングダイニングがあります。
リビングダイニング
左側には屋外デッキ、右側1階はキッチン、右側2階にはスタディコーナー、ステップした奥にはセカンドリビング、 というように、様々な居場所がリビングに顔を出しています。
現しの垂木は、中庭から外周部の梁に向け垂直に伸び、放射状に広がっているかのように感じられます。
リビングにいながらも、階を跨いで広がる天井面が見え、様々な居場所の上を覆う大らかな屋根を感じられます。
リビングの方を見ると、奥には中庭が見えます。
外部に挟まれるかたちで、生活の中心であるリビングがあります。
デッキ
アコヤ材を採用したデッキは、南面にせり出しています。
「ヘーベシーベ」の木製サッシを開けることで、リビングと一体的な場になります。
セカンドリビング
1階のリビングと2階とを繋ぐ居場所です。
リビングよりFLが900mm高く、天井面も近くなるので、 リビングとはまた違う居心地の良さがあります。
スタディコーナー/書斎
2階に上がるとスタディコーナーと、奥には書斎があります。
生活の中心であるリビングに向けて、親子が並んで作業・勉強できる居場所をつくりました。
左側に中庭、右側にリビングの上部吹抜けがあり、とても開放的です。
寝室
書斎の隣には寝室があります。
中庭の向こうには子供室が見えます。
子供室
将来的に可動間仕切りで部屋を分けられるように、 上部には鴨居が取り付けられています。
右側の窓からはニュータウンの街並みを眺めることができます。
2階の諸室は中庭に向けて大きな開口部を設けており、 壁面も極力すくなくしているため、 視線の通る、明るく開放的な空間になっています。
キッチン
1階のキッチンはリビングに面して大きく開口し、 調理しながら家族の様子を見ることができます。
また、玄関からパントリー/キッチン/洗面室/浴室/物干し場の順で並べ、 家事動線が短くなるよう配慮しました。
中庭
中庭にはモミジを植えました。
2階の諸室やリビングから葉が見え、季節の移ろいを感じられます。
左側には、別に玄関を設けた、お施主様のお母様のための住まいがあります。
母室
東西に大きく開口部を設け、コンパクトでありながらも明るく、開放感があります。
夕景
NGK 多様性が佇む大屋根
- 所在地/仙台市青葉区
- 主要用途/専用住宅
- 家族構成/夫婦+子1人+祖母
構造・構法
- 主体構造 木造
- 基礎 ベタ基礎
規模
- 敷地面積 332.49㎡
- 建築面積 155.17㎡
- 延床面積 199.45㎡
工程
- 設計期間 2017年5月~2018年5月
- 工事期間 2018年6月~2019年4月
敷地条件
- 第1種低層住居専用地域
- 道路幅員 東6.0m 南6.0m
撮影:越後谷 出