はじめに
仙台市郊外の閑静な住宅地に建つ地上2階建ての住宅です。
計画地は道路を挟んで南側に小学校、西側に幼稚園があり、それらが持つ緑に囲まれた豊かな環境である一方で、通学時は子供からお迎えの父兄まで多数の人々が往来するような敷地でした。
また3方向に接道していながらも、擁壁によるレベル差もあり、車でのアクセスは一方向のみであるため、必然的に玄関と車庫の位置が決定するような敷地でした。
お客様からいただいた要望は、
- 大半の時間をリビングで過ごすので充実させてほしい。
- 周辺の環境を取り込みながらも、プライバシーに配慮した計画にしてほしい。
- ４世代が同居するので、個々のプライベートは基本的に守りたい。
というものでした。
周辺環境をうまく取り込みながら、プラバシーを確保した計画という相反する条件をどのように解決するかが設計のテーマとなりました。
外観
南側（写真右側）にリビングを開き、西側(写真左側)のコンクリート部分に個室群を設けた構成になっています。
コンクリート部分の諸室の上に鉄骨で屋根を掛けた構成になっています。
北側玄関アプローチ部分は、車庫と中庭の境界にコンクリートの擁壁を立ち上げ、歩道レベルからの視線を遮りながらも、リビングにいるときには上空へ視線が抜けるような断面構成としました。
リビング
北側は前述の通り、中庭を介したコンクリートによって歩道レベルから視線を遮り、道路向かいのお宅の緑と空だけが視界に入り込むように計画しています。
天井高さは5mあるため開放的な空間となっており、さらに同様の天井高さで車庫まで連続させることでリビングに空間的な拡がりを与えています。
南側は道路向かいの小学校の緑を借景としながらもプライバシーへ配慮し、開口部を外壁から引き込んだ位置に設けています。
開口部は特注の木製サッシとし、リビングとウッドデッキが連続するような大開口とすることで、季節に応じてリビングが拡張するような設計としています。
書斎/収納コーナー
読書スペースとしての書斎はリビングの吹き抜けに面して配置し、家族の雰囲気を感じながら読書できるスペースとしました。
浴室/脱衣室
中庭をコンクリート擁壁で視線を遮ったことを利用して中庭に面して配置しており、明るい空間となっています。
母室
お母様のお部屋は最もいい場所にというご主人の希望から、南側からも西側からも緑が望める環境に設けました。
寝室
2Fの寝室群は全て西側の眺めが良い場所に面して設け、隣地の幼稚園の美しい緑が望める場所に設けました。