『囲い庭に埋もれる平屋』のオープンハウスいらっしゃったクライアントに、「プレゼンテーションをして欲しい」と依頼され、検討が始まりました。
敷地
敷地は、仙台市郊外の住宅地に位置しています。
新しい住宅地であり、未だに周囲にはあまり住宅が建っていないような場所でした。
こんご周囲にどのような住宅が建とうと、快適性を確保する必要がありました。
※スタディを行った敷地模型は、一般的に想定される住宅を周囲に配置しています。
基本的には、 『囲い庭に埋もれる平屋』の路線を踏襲して欲しいとのことでしたが、 他には次のような要望がありました。
- 現在は夫婦二人だが、いざとなると寝室を区切って予備室にできるようにしたい。
- リビングは広くなくて良いが、みんなで作業のできる大きなテーブルが欲しい。
1/100模型でのスタディ
スタディを始めた当初からの基本方針として、「幾つかの庭が住宅の中に点在しており、それによって快適な通風や採光を、確保する」というイメージがありました。
『study-model-02』のような、「ワンルーム的な空間の中に、点在する中庭」といったイメージは、出してはみたものの、すぐに却下されました。
このあたりから、「『庭』と内部空間をワンセットにしてひとつの単位空間にしよう」というイメージが固まり始めます。当初は、細長い空間をリニアに(並列的に)並べようと考えていました。
この時点では、エントランスから、クローゼット、洗面室、風呂場までを一連の空間としてまとめ、住宅の真中に配置しようとしていました。
細長い空間をリニアに(並列的に)並べようとすると、どうしてもリビングの奥行きが深くなり過ぎてしまい、今ひとつ良くならない気がしてきました。
また、細長い空間を羅列すると、空間のパースペクティブが効いて良いのですが、同じものがいくつも連続してしまうということが、果たして効果的かどうかについても疑問に思えてきました。
スタディの次のステップでは、『並列的』でない空間の連続させ方について検討しています。
このあたりで、ほぼ、最終案の原型が出来上がっています。
奥さんから要望のあった、『少しごろんとなれる畳スペース』をどう取るかなど、細かい調整で四苦八苦していましたが、クライアントも含めて最終案のイメージは共有できていたと思います。
クライアントも、「リビングの床高さを上げてから、グッと良くなった」と表現されていましたので、かなり本質的に理解してしてくださっていると、確信しました。
アレコレと試行錯誤をしましたが、何度か作業と打ち合わせを繰り返して見えてきたのは、次のような方向性です。
- 「外部空間」と「内部空間」をワンセットにしてひとつの単位空間と捉え、それぞれの快適性を確保しながら、それらを連結すること。
- 「ある空間」から「別の空間」へと移動する空間体験をもっと研ぎ澄まし、日常生活の中に埋め込むこと。
- ぽっかりとあけた「開口部」を介して、空間と空間が、あっけらかんと、連続しているようにすること。
今思い返してみると、住宅の中での空間体験として、『空間のプロポーションと素材』と、『空間から空間への移動体験』の二つの側面から捉えなおして、再構成し、日常生活の中に埋め込もうとしたのが、この、『連続し、寄り添う、ハコ/ニワ』のスタディだったと思います。
1/50模型での検討
最終案 1/30模型
『連続し、寄り添う、ハコ/ニワ』の完成写真はコチラ
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